【稽古録】「正中面」稽古
4日に久しぶりに「正中面」をテーマに稽古をしました。
「正中面」は松聲館の甲野善紀先生が井桁術理を開発するにあたり、体幹部を律するために提唱したアイデアで、要は中心軸を前後に伸ばして面にしたものです。
正中面感覚は、体幹部の捻れ、歪み、撓みなどの見張り役(規矩=ノリ)として機能し、相手の手がかりになる余分なリキミを作らない効能があります。
現在の半身動作研究会の研究では、「正中面」は体幹部を崩さないことで、重心を速やかに伝える効果があると考えています。当会の技法上の原則である「(肩関節、股関節の)四点不動」は体幹部を捻らない、歪めない、撓めないためのアイデアで、松聲館の「正中面」と体幹部を前後に分ける「冠状面」とを合わせたものです。
「正中面」は方向性があるので、ある意味気配が出ているともいえるのですが、「相手の芯をとらえる」という稽古過程においてはたいへん有効な稽古になります。不要になれば面を中心軸に収納してしまえばいいだけですから。
この「芯をとらえる」という感覚が「四点不動」だけでは育ちにくいもので、歪まない体幹部の形成と並んで「正中面」の稽古の価値です。
「芯をとらえる」とは、相手の中心軸に対して自分の正中面をきちんと向けるということです。もっとも基本的な稽古は、松聲館の型である「正面の斬り」や「正目返し」のように、手首などの一点で相手と接触し、正中面の二点で攻めるというものです。
非接触の正中面で攻めるというのはひとつの表現なのですが、実際技を行う方にとっては、正中面で相手の芯を押していく、という感覚があります。
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