コラム

2021年11月 4日 (木)

中村考宏先生のブログ「治療の考え方」

構造動作トレーニングの中村考宏先生のブログに「治療の考え方」という記事がある。

「治療の考え方」

治療というものを、痛みや症状がなくなったら治癒したと考えがちだ。
ところがしばらくするとその痛みや症状がぶり返すということがある。「ふりだしに戻る」という感じだ。

痛みや症状を作り出しているものはわたしたちの内にあるのだから、そこが修正されないと次に進めない。
その修正はわたし自身がやるしかないのだが、そうしようと決断しただけでは修正されない。具体的な行動が必要なのだが、それがわかれば世話はない。わからないからぶり返すのだ。

そこに人の手で一押ししてもらう必要がある。
この一押しが治療ということで、それは当事者の次の一歩をサポートすることだと思う。
治療というのはあくまでもサポートで、解決するのは当事者、あるいは当事者の身体ということになる。

「徒手検査、施術、動作改善」

これが中村先生の考える治療の流れであり、最後の動作改善のバトンは当事者に渡される。
道筋を示しバトンを渡すのが治療の専門家というもので、その道を進むのは自分自身ということだ。
一回で道を進めるとは限らないが、迷子になったらまた主体的に治療の流れに戻り、自分の道をしっかり掴めるように努力することが大切なのだと思う。
そこを理解しないと、どんなに優れた治療家や医師を求めて渡り歩いても、いつまでも渡りをやめられないことになる。

そして治療する側の心構えを中村先生は以下のように言っている。

「治療院でおこなう治療を施術のことだと捉えている人が多い。当院では、徒手検査、施術、動作改善をおこなうが、その人が日常生活動作を快適におこなえるようにする動作改善をクリアするまでが治療だと考えている。」

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2021年10月11日 (月)

元・一ノ矢、松田哲博著『四股鍛錬で作る達人』

『月刊秘伝』のいま販売されている10月号から、シコトレの元・一ノ矢、松田哲博先生の新連載が始まった。
漱石と寅彦の「相撲の力学」問答』というタイトルで、相撲好きの夏目漱石と弟子でもある物理学者の寺田寅彦が、相撲を力学的に解明していくという架空の対談形式。
意外な角度からの取り組みで、この一回目がとても面白く、今後の展開が楽しみだ。

松田先生には何度か四股を学ぶ機会があって、今後も機会があればそうしたいと思っている。
というのは、松田先生は大学で物理学専攻という経歴のためか、研究の態度が論理的で、かと言ってそこに寄りすぎず、自由な発想もあり、四股についての理解を深めることができたからだ。

一方、松田先生は2018年から日本武道館発行の『月刊武道』誌に「四股探求の旅」を連載していて、それも大変読み応えがあるものだった。
この連載が単行本にならないかと思い、日本武道館の知り合いに聞いてみたが、単行本化の予定はないということでがっかりしていた。

ところが今回、秘伝誌の新連載記事の終わりに載っていた『四股鍛錬で作る達人』という松田先生の新刊が、「四股探求の旅」をまとめたものだった。
タイトルが秘伝らしいものに変わっていたため、別の内容だと思っていたのだが、そのことをこの本を読んだ知人が教えてくれた。

BABジャパン、グッジョブ!


『四股鍛錬で作る達人』

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2021年5月14日 (金)

【コラム】動作術の会◎「運動の質を高める 〜 書籍『技アリの身体になる』をテキストに」について

月に一回のペースで「運動の質を高める 〜 書籍『技アリの身体になる』をテキストに」というタイトルで、動作術の講習会を行なっている。

このテーマは、拙著『技アリの身体になる』(バジリコ)に紹介した稽古素材(ドリル)を稽古するのが目的だが、書籍にある稽古素材から始まり、今の視点からの稽古素材へと展開することが多い。

書籍を書いてから15年。
当時は甲野善紀先生の武術を稽古するための身体と感覚を作ることを目指したのだった。
今になって構造動作トレーニングから各稽古素材を見直してみても矛盾することが少なく、自分が中村考宏先生の構造動作トレーニングに深く関わっていくのも必然だったといえる。

書いた頃は、感覚的に伝えていた稽古素材を、構造動作理論から、
根拠とともに説明できるようになったのは進歩といっていいだろう。
当然わたしも15年の年齢を重ねてきているが、はるかに楽に動けているし、運動についての理解も深まってきている。

運動は、動けてとき初めて理解するのであり、動けないことは分かっていない。
身体の技法でいえば、出来て初めて分かるのである。

「運動の質を高める 〜 書籍『技アリの身体になる』をテキストに」の動作術講習会は、運動の本質を学ぶクラスともいえる。
すべての動く人が対象なので、一度参加してみてほしい。

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2021年4月14日 (水)

【コラム】膝の内旋

動作術の講習会の参加者には、膝が内に入っている人が男女に関わらず多い。
これは動作術に限らず、「世間には」と言っても良いと思う。

講習会に参加する人で膝の内旋を気にしている人もいるが、全く気付いていない人の方がほとんどだろう。

構造動作の中村考宏先生のブログで、その原因が書かれていた。

「ハムストリングスの主な作用は、下腿の屈曲と下腿の内外旋。」

となると、膝の屈曲の作用と内外旋に作用する方向を自身で実感する必要がある。

まずは屈曲方向への作用をじっくりと入力していくことが大事で、そのためには、

・足首の関節の底背屈を正確に行い、膝の屈曲方向のガイドにすること。
・きちんとしたしゃがみ姿勢を丁寧に行うこと。

そう考えると、これらは構造動作トレーニング全体を貫いていることだとわかる。

4月17日、18日には構造動作トレーニングの東京教室がある。

以下は中村先生のブログの記事。

 ▼

スクワットで膝が内側に入る原因、内転筋とハムスの細分化



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2021年3月 6日 (土)

【動画】草加カルチャーセンター「骨格バランス体操」

草加カルチャーセンターが、動作術の講座風景を動画で撮ってくれました。

直接の動画へのリンクではないですが、トピックページも作ってくれたので、まずはそこから動画をご覧ください。
トピックスの中程の写真下にある「☆骨格バランス体操授業風景動画☆」をクリックするとYouTubeが開きます。

【トピックス】骨格バランス体操動画到着!!

 ●

草加カルチャーセンターは埼玉県草加市の東武スカイツリーライン 「獨協大学駅」近くにあります。
ベルクスというスーパーの3階です。

第1・3金曜日の15時から16時30分で、楽に立つ・歩く・しゃがむなどの、日常活動(生きていくこと)の基礎になる、

・自然な骨格位置
・自然な関節の動き

を学び、一生自分の足で歩ける体になることを目標にトレーニングをしています。
筋肉のトレーニングではなく「動作のトレーニング」。
見学、体験もできますので、一度のぞいてみてください。


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2021年3月 3日 (水)

【稽古素材】正座企鵝立ち(せいざきがだち)

以前動作術の稽古に来ていて、今は遠方に住む人から、昔月間秘伝に載せた動作術の稽古素材(ドリル)についての問い合わせがあった。

秘伝の記事のコピーを送ってくれて、調べてみると2013年の秘伝1月号で、巻頭特集「“座り”から強くなる! 日本だけが持つ“正座”発、達人化メソッド」に寄稿したものだった。

正座から行う稽古を紹介したもので、質問はその中の「正座企鵝立ち(せいざきがだち)」についてであった。
「企鵝」とはペンギンを指す漢字で、正座からペンギンが立つ姿勢になるために命名したもの。

8年前のもので、この間、こうした稽古の機会がなかったため、改めて「正座企鵝立ち」を写真に撮ってみた。

  ●




  ●

まずは出来てホッとしたのだけど、説明の部分を記事から引用してみる。


「これは正座から両腕を斜め前方に振り上げてからだを浮かし、両膝を抜き上げてしゃがみ姿勢になるものです。おそらくやったことがある方も多いのではないでしょうか。しゃがみ姿勢はペンギンの姿勢なので「企鵝立ち」といいます。
 ただここで大切なのは脚力で飛び上がってはいけないということです。まず両腕を斜め前方に振り上げることで運動を起こして浮かし、その間に股関節を畳んでしゃがみ姿勢になるのです。からだが軽くなった瞬間に両膝を抜き上げる感じです。」

記事中の写真にある説明文は以下の通り。

・「正座企鵝立ち」
1. 正座で座る。
2. 両腕を顔のやや前方に振り上げて、からだを浮かす。
3. 浮いた瞬間に両膝を抜き上げてしゃがみ姿勢(企鵝立ち)になる。
※正座から脚力で飛び上がってはいけない。なるべく頭の位置が変わらないように膝を抜き上げる。

  ●

現在の動作術の立場からは、重心移動の質を上げるためのトレーニングと位置付けられる。

こういった稽古素材は、面白がって取り組めるところが良い。

記事を送ってくれた人は、そのうち上京した際に教えて欲しいと言うが、東京に来るまでの間に出来てしまっている気がする。

ただ集中して取り組む、というより、重心移動の基本的なトレーニングを続けていて、「正座企鵝立ち」をやってみたら出来た、という感じがより望ましい。


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2020年7月 1日 (水)

【DVD】『体の仕組みを使う全介助技術集』(指導・監修:川野晃)

Dvd

以前、動作術の会の前身である「半身動作研究会」に稽古に来ていた川野晃さんが、全介助技術の解説DVDを出した。
 
 
当時から全介助のための技術を工夫していて、わたしも参考にさせていただいた。
あれから10年以上経って形になったこのDVDは、おそらく川野さんの技術の極一部だろうが、「骨盤の重さ」を利用するという一点から、様々なアプローチが紹介されていて、そのシンプルさが魅力となっている。
 
DVDは介助初心者の女性へ川野さんが指導する形で進み、その試行錯誤の様子がリアルであり、成功した時の喜びも伝わってくる。
 
とは言っても、身体技法である以上、実際に習う機会を持つに越したことはないが、すでに介護の技術を持っている人には、このDVDを見ることだけでも大きなヒントとなることだろう。
 
また重心という言葉は使っていないが、滑らかな重心移動のお手本としても価値あるDVDだと思う。

 

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2020年3月13日 (金)

【コラム】座学の楽しみ

今日は、月一回午前中に行なっている動作術の会の会場が、施設の閉館のため使用できなかった。

だいぶ前だが、別の会場で連絡ミスで部屋が開いておらず、急遽近くのフェミレスで座学をしたことがあった。
その時の参加者のお一人が、今回のメンバーでもあったため、そのことを思い出しし、今回の閉館の知らせがあってすぐに座学の提案をしたのだった。

世話人の方が、いつもの会場近くにゆったりした空間のコーヒーショップを探してくれた。
今回は状況も状況だし、2、3人でも来てもらえたら、座ってできる手の動作術や、呼吸法などを紹介し、イスに座ってできる運動など紹介できたら、と考えていた。

当日の体調に配慮しての参加をお願いしていたが、始まってみると6名もの方が参加してくれた。

内容はリクエストの応じて、まず呼吸について。
吸気の際の横隔膜の働き、呼気の肺の振る舞いなどをレクチャー。
快適に呼吸ができる骨格ポジションを、イスとテーブルを使って試してみる。
横隔膜が十分に働き、肺を大きく広げられる胸郭のポジションで、軽い美呼吸を練習。
美呼吸の際の、舌のポジションと唇との関係も試してもらう。

中村考宏先生から学んだ構造動作トレーニングの「片肺呼吸」を実践。
左右の肺に分けて呼吸することが初めての人が多かったが、とりあえず実習。
そして肺と横隔膜が働く骨格ポジションを守ることで、手足の末端まで暖かくなることを実感してもらえたようだ。

こんな時期こそ、体の隅々まで酸素を送り、細胞を活き活きとしておくことが大切だ。
また呼吸が楽な骨格ポジションは、そのまま重心移動が滑らかな姿勢であり、「骨なりに立つ」姿勢となる。
レクチャーの合間にも、関連した質問がいくつも飛び出し、これも座学ならでは。

終了してみれば、座学も楽しいという感想で、もし来月もいつもの会場が使えなかったら、その時はまた座学で、ということになった。
4月になって、新型コロナが終息しているはずもないが、それでも緩やかにでも施設の利用が再開していることを願ってはいる。
しかし、座学の楽しさを共有できて、悪いことばかりではないと思うことにした。

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございます。
これからも、うがい・手洗いをよくして、体温を計り、十分に体を休めて、無理のないようにお過ごしください。

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2020年1月31日 (金)

【中村先生のブログより】バレエや太極拳の動作に直結する開脚前屈と直結しない開脚前屈

構造動作トレーニングの中村考宏先生のブログを紹介します。
※スネの筋肉の解剖写真があるので、苦手な人はご注意ください。

これは股関節の動作や精度についての連作のひとつです。

構造動作トレーニングの考える「正確な開脚前屈」、すなわち構造動作の「股割り」。
バレエの方の話題が多いが、今回は太極拳の話題。
股関節が硬い、開けない、と思っている方はぜひ一読をお勧めします。

以下一部を抜粋します。

 ▼
開脚前屈で身体のやわらかさを求めてしまうと、バレエの動作がくにゃくにゃなって醜いものになりがち。正確な開脚前屈は、その動作に作用する筋が収縮しているものでなくてはならない。
 ▼
開脚前屈で身体のやわらかさを求めてしまうと、筋を使わない、筋が作用しない無意識をつくりやすい。足の末端まで意識が通り、身体をコントロールできるようにしたい。
 ▲

「股関節回転講座」より
※スネ主編の筋肉の解剖写真があるので、苦手な人はご注意ください。
バレエや太極拳の動作に直結する開脚前屈と直結しない開脚前屈



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2020年1月 7日 (火)

構造動作トレーニングの正月合宿(不参加ですが)

今年は参加できなかったのだが、正月の2、3日に構造動作トレーニングの合宿が開催された。
これまではトレーニングスペースを確保して、午後に集合して夕刻までトレーニング。懇親会をして翌午前いっぱいトレーニングというメニューだった。

不参加の今年は、三重県にある中村先生の新しい治療院に集合し、身体の調整、足裏接地や股関節のトレーニングなどを行ったあと、1日目は隣接する多度山で12.5kmのウォーキング。

2日目は10kmの沢歩き。初日のウォーキングに比べてかなり難易度が高い。トレーニングで得た感覚の全てを使って移動する。
終了後、温泉で汗を流す。

繰り返すが今年は参加できなかったので、中村先生のブログから合宿の様子を引用してみた。
治療院を拠点にした合宿ならではのメニューで、室内でのトレーニングで得た感覚を自然の中で試すという、理想的な環境に思える。

わたしは都会っ子なので、沢歩きなんてしたくない方なのだが、ブログで合宿の様子を見ると不思議と胸おどるものを感じた。
この季節の山は茂みが少ない分、夏より歩きやすいかもしれない。

鬼が笑うが、来年同様なものがあるなら参加してみたいなあ。(沢歩きが辛そう…… )

合宿の様子の写真があるので、中村先生のブログをぜひお読みください。

  ↓

構造動作トレーニングの原点からスタート

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