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2011年8月22日 (月)

【稽古メモ】「前腕を道具にする稽古」

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以前遠方から稽古にみえた方から質問をいただいた。

「前腕に体幹の力を伝える」というテーマに興味があるのだが、なかなか東京に行くことができないので、無理は承知で「前腕を道具にする方法」を説明してくれないか、というものだった。
(もちろんもっと丁寧なメールであるが、内容をかいつまんだため素っ気ない表現になった。)
以下はその返事。参考になるかならないかわからないが、せっかくなのでブログに転載する。

◎前腕を道具にする稽古
●「壁にただ寄りかかる」

わたしが最初にするのは、壁に両手を着いて寄りかかる稽古です。
ちょうど壁に向って腕立て伏せをする要領で、
胸を壁の方に近づけます。つまり壁に寄りかかる。
この時、前腕が壁と垂直になるポジションにします。
はじめに手を着いた位置だと、壁に寄りかかるにつれ肘が下がってくるので調整して壁と垂直になるようにします。
そこで胸と頭を壁に沿って引き上げるようにすると、両手にさらに重みが加わります。
この稽古は前腕をただ支えとして、しっかり壁に寄りかかれるか、という稽古です。

ふつう簡単だと思うかもしれません。ただ寄りかかればいいだけのことですから。
ところが多くの人は、手で壁を押してしまっています。つまり前腕をただ支える道具にできずに、壁を押しやるという働きをさせてしまうのです。
これでは壁に寄りかかる動作をしたいのに、手でからだを壁から遠ざけることをしてしまっていることになります。

では押してしまっているか、ただ支えているだけかを確かめるのはどうしたらいいでしょうか。
これは壁の代わりに人に寄りかかってみるとわかります。
前から寄りかかるとすぐに後方に倒れてしまうので、横から寄りかかります。
ただ側面は巾がないので、片手だけを相手の側面に着きます。もう一方の手は支える形だけしておきます。
ここでなるべく前腕を相手の側面と垂直になるように調整して寄りかかります。
もし手のひらで押している場合、相手は耐えられるので動きません。
しかし前腕がただ支えるだけの道具になっている場合、寄りかかる胴体の重さがそのまま伝わるので、相手は耐えられず向こうへ押しやることができます。

これは前腕を「ただ支えるだけ」のつっかい棒にする稽古です。

●「斜め腕立て」
もうひとつの稽古方法は似ていますが、ずいぶん感触が違います。
同じく壁に寄りかかって、こんどは腕立て伏せをします。斜め懸垂ならぬ「斜め腕立て」です。

この時壁に近づいても遠ざかっても、手のひらにかかる圧を変えないようにします。
前腕で壁を押して腕を伸ばせば圧は高まりますから、腕で胴体を動かしてはいけないということです。
つまり背筋だか腹筋だか、ハムストリングスだか全部なのかわかりませんが、腕はただ支えにしてその他のからだ全体で壁に近寄ったり遠ざかったりします。
形としては寄りかかっているので難しいかもしれませんが、ともかく最初に寄りかかった圧を変えないように工夫して斜め腕立てをやってみてください。

この二つは、ともかく前腕を「ただ支えるだけ」のつっかえ棒にする稽古です。
これで肘から先を道具化できます。
こういう前腕で触れられると、重心移動がスムーズに前腕を通して伝わるので、触れられた人はいきなり前腕から体幹の重さが伝わってきた感じがして、動かされたり崩されたりしてしまいます。

具体的にはやはり実際にやらないとわかりにくいでしょうが、参考になさってください。
中村先生のブログの「壁立ち」の写真と、わたしのレポート「【構造動作】手に重さをかける」中の「●壁にもたれる」の文章も参考にしてください。両方とも以下のサイトで見ることができます。
http://www.eni4.net/blog2/cat153/index_4.html

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