【稽古メモ】皮膚に離陸をかける
最近ワンテーマ講習会で「皮膚に離陸をかける」というのをよくやる。
甲野先生の講習会に出たり、本をよく読む人でも「離陸をかける」ということばにはなじみがないだろう。これは半身動作研究会の造語だからだ。
しかし元になったのはご存知「足裏の垂直離陸」(ご存知じゃないって?)。
そのときに「足裏に離陸をかけて」という言い回しはあった。
今はシステマのインストラクターになったきたろうさんが何年か前に、「足裏に吸盤が付いていて、床に吸い付いている足を引き上げようとしたら、逆
にからだの方が引き寄せられたたって感じだと思う」と言ったのがきっかけで、わたしの離陸についての理解が一気に深まった。
つまり足を「上げようとするが上がらない」「上がらないけど上げようとする」というのが足裏の垂直離陸なのである。
ここでどういうことが起こっているかと考えると、「上げようとする力と下げようとする力が拮抗状態にある」ということである。
これは上下方向の力であるが、要は「行こうとする力と来ようとする力が拮抗する」ところにある働きが生まれるということであろう。
さらにまとめると「離陸とは運動の方向性の順逆拮抗状態」のことだと言える。
そうなると「離陸」はからだのどこの部位でもできる。これがわたしの言う「どこでも離陸」の発想の元である。
つまり「上げようとして上がらない」だけでなく、「離そうとして離れない」「掴もうとして掴めない」「引こうとして引けない」「押そうとして押せ
ない」などなどの状態を作れば「離陸がかかる」のである。
「離陸がかかった」手で相手に触れた場合、相手の皮膚感覚はその手が「握ろうとしているのか離れようとしているのか」「押そうとしているのか引こ
うとしているのか」などの判断に困り、松声館の術語でいう「センサーモード」になってしまうと考えられる。
センサーモードはどういう入力かを探るために力を抜いてしまうということである。
ただいわゆる「センサーモード」は、相手が力を抜いてしまうのだが、「離陸」をかけた場合、相手は力を入れられなくなってしまうと同時にからだが
固まってしまう傾向があるのが特徴である。
力を抜くのは入力情報を「探ろうとする」からであるが、離陸をかけた場合は「探ろうとする直前の状態」から進めなくなってしまう
と考えられる。
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次回のワンテーマ講習会「皮膚に離陸をかける」は4月17日(土)18時15分からです。
場所は明石町区民館6号室です。
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